新・魚のサカナ(鯛のタイ)図鑑(引越中)

いわゆる「鯛のタイ」の写真集

124: オオメナツトビ

ダツ目トビウオ亜目トビウオ上科トビウオ科ハマトビウオ属注1
学名:Cypselurus unicolor (Valenciennes)注1
英名:Limpid-wing flyingfish

体長約35cmの鮮魚から摘出。滑らかな面を表にして撮影。右は射出骨付き。「目」が細長く、愛嬌のある顔立ちをしている。巨大な胸鰭を安定させるためか、烏口骨が太くがっしりしている(が、実は骨自体はかなり薄い)。


上の写真の左側の標本を、筋が立った裏側方向から観察。


上の写真の右側の標本を、そのまま拡大して観察。

胸鰭軟条の分枝パターンが異なっていることから標準和名「トビウオ」と、また背鰭前方の鱗数で標準和名「ハマトビウオ」と区別できる注2

下の写真に写っている3匹の内、下の2匹はネギ、シソ、ミョウガなどを薬味にした「アジのたたき」風で、残り1匹(おそらくホソトビウオ)は塩焼きで食したが、どれも非常に美味。特に「たたき風」の方はさっぱりとした夏向きの味で、素晴らしい旨味/身質を堪能。八王子綜合卸売協同組合、マル幸水産で購入。ただし店頭では「オオメナツトビ」との表示はなし。


注1:2000年出版の「日本産魚類検索 全種の同定」では、オオメナツトビはハマトビウオ属の Cypselurus antoncichi (Woods and Schultz)となっているが、FishBaseではこれをツクシトビウオ属 Cheilopogon antoncichi (Woods and Schultz) とし、Cypselurus antoncichi はシノニム扱い。ただしこちらのエントリーでは、Common nameとして8種類の中国名が記されているのみ(英名表記もない)で、情報も限定的。また上記したように2005年出版の「新訂原色魚類大圖鑑」では、オオメナツトビをハマトビウオ属の Cypselurus unicolor (Valenciennes)としているが、FishBaseではこれもツクシトビウオ属の Cheilopogon unicolor (Valenciennes)とし(こちらのエントリーのCommon name欄には「オオメナツトビ」あり)、当然 Cypselurus unicolorはシノニム扱い。どうやら研究者の間でもかなり混乱している模様。

注2:1)胸鰭の先端が腹鰭起部および臀鰭後端を越える(下の写真1&2)、2)側線に胸部分枝がない、3)腹鰭の先端が臀鰭起部を越える(写真2)、4)臀鰭起部が背鰭第3軟条の後方にある、5)胸鰭の上から1軟条のみが不分枝(写真3)、6)胸鰭鰭膜に明瞭な斑点なし、7)背鰭に顕著な黒色域なし、8)背鰭前方鱗数が34、9)下顎が上顎より前に突出する(写真4)、、、ことから、オオメナツトビと判断。ただし肝心要の形質9に関しては素人目には微妙な部分もあり、本稿の魚はもしかしたらオオメナツトビではない可能性も低くないことを明記しておく。

写真1

写真2

写真3

写真4